砂漠のナボナ

来る前からここにいて、去った後もここにとどまる

彼女が喜びそうもない話

最近よく話す女性がいて、でもあまり自分から話してくれる人ではないので、僕はたくさん話題を用意するようになった。そこで話すほどではない話題をいくつか。

クリーニング屋にワイシャツをもっていったところ、手持ちの現金がなかったので近くのATMでおろしてきた。1000円足らずの会計に対し僕はおろしたての1万円札を出したのだが、店のおばちゃんは一言「おっきぃ……」とつぶやいた。僕は「すみません」と答えた。いらんエロスだな、と思った。

・スーツ姿で歩いていると、横断歩道で不意にほかの男性と二人だけ横に並ぶことがある。信号が青になって歩き出すとき、なんとなくドラマ「相棒」みたいだな、と思う。彼と僕のどちらが水谷豊だろうか、彼と比べると僕は寺脇康文だろうか、僕が水谷豊で彼が反町隆史かな、と考えるのは地味に楽しい。

・先日スパイダーマンを見に行った帰り、レイトショーのため終電の時間がギリギリだった。のんびり歩いていては間に合わないので走ることにしたのだが、しばらくすると同じ道を横に並んで走ってくる青年がいた。加速は僕のほうが早かったがスタミナは彼のほうがあった。信号で止まって横に並ぶたび、「まだいけるか、相棒」と戦友みたいな感情が芽生えた。駅に着く前に彼はいなくなってしまったのだけど、どこにいったのだろう。同じ電車だったなら飲みに誘ったのに。

彼女は下戸で、酒は飲めない。ディナーに誘ったらよくわからない理由で断られてしまった。じゃあなんでランチは必ず来てくれるんだろう。

京アニについてはただ祈るしかない夜、どうかよい眠りを