砂漠のナボナ

来る前からここにいて、去った後もここにとどまる

残業と結婚

このところ2か月ほどずっと残業続きだった。過労死ラインには届かないが、実家から遠く離れ友人も恋人もいない独身では生活の基盤があっさり崩れる。たまっていく洗濯物、使っていないのに減っていくお金(自炊せずに適当に買っては食べずに捨てたりするから)、悪化する持病、労働とは悪であると言っても過言ではない。

残業といってもトラブル対応だったので、一緒に働く仲間がいたのだ。直属の上司、他部署の上司、他部署の先輩と僕を含めた男4人である。事業部長は逃げた。最遅で日付をまたいで午前1時まで働いていたのだが、ふと気づいたのである。あれ、おれ以外みんな結婚してるぞ、と。

僕は家に帰ってから食事を用意して、選択してないから深夜だけど洗濯機回さなきゃならなくて、でも明日も朝早いからシャワー浴びなきゃいけなくて、とあたふたしている中、ほかのみんなは余裕である。みんな家に帰れば家族がいる。今日日家事は女性だけがやるものではなくなったとはいえ、結婚していれば多少なりとも分担できるものだろう。家に帰ったら翌日分の下着ぐらいは洗濯してあるんだろう。食事ももしかしたら残してあるのかもしれない。なんなら、起きていて帰りを待っているかもしれない。かたやおれはひとり。独身者手当とかないのか。

思ったのだ。結婚したいと。結婚すれば残業し放題ではないか。年収上げ放題である。

もちろんそんなことのためにパートナーが欲しいわけではない。結婚できたならむしろうれしくて早く帰ってくるだろう。それができなくてさみしいのだろうか。