砂漠のナボナ

来る前からここにいて、去った後もここにとどまる

結婚したらマイハニーと呼ぼう

中学生の頃にかわいい女の子と付き合う妄想をして以来、その手の妄想は人生の至る所で進行している。僕の妄想の特徴は個々の妄想エピソードに連続性を持たせ、ひとつの人生として俯瞰できるようにしているところだ。全体としては世界一かわいい女の子と付き合い、結婚し、子供が生まれ、孫に囲まれて死ぬのである。死ぬときのイメージはゴッドファーザーのドン・コルレオーネだ。静かに余生を送り孫と遊んでいる最中に倒れてそのまま死ぬのである。

 

というわけで僕の妄想ストーリーはすでに完結しているので、それ以降はもっぱら細かいエピソードの補完である。このタイプでいえば、すでにマンションを買うかどうかと子供がピアノを習いたいと言いだしたときの妄想は完了している。ちなみに戸建てを買わずにピアノは習わせることになっている。ただしこれは妄想であって僕の人生プランではない。だから実際にパートナーができたときにこれを押しつけるつもりは全くないのだ。この文章を読んでいる全国一千万の僕の熱心なファンは安心してほしい。

 

さてこの頃気になっているのはパートナーをどう呼ぶかだ。僕は性自認は男性で、女性を愛する異性愛者である。この、相手の呼び方というのがくせ者だろう。ネット上では定期的に話題になるではないか。「嫁」や「妻」は相手を古い立場に押し込めるようだし、「相方」とか「連れ」って友人と区別しにくくてなんかいけすかないし、「パートナー」ってすごく政治的に構えていて堅苦しい。「うちのカミさん」これじゃあコロンボである。相手を尊重しつつ、呼びやすく、話を聞いてる第3者にも伝わりやすい呼び方はなんだろうか。

 

そうして思いついたのは「マイハニー」である。これは言う当人のキャラに左右されるが、自分では結構良いんじゃないかと思っている。まず婚姻関係、パートナーシップを結んでいることは伝わるだろう。そしてマイハニーと呼んでる相手と仲が悪いはずもないので、良好な関係性をアピールできる。欠点は唯一、言うのが恥ずかしいところなのだが、これは最初に周囲に触れ回ることで解消したい。「いやほら、なんか嫁って言うの古いっていうか?間違いなくマイハニーではあるんで」これだ。「あれ?弁当に変わったもの入ってるね」「マイハニーがこういうの好きなんで」とか「紹介しますね。こちらマイハニー」とか、かなり便利なんじゃないだろうか。

 

ちなみに常に名前で呼ぶというのも考えたのだが、これはあくまで僕の妄想の話なので個人名は出てこないのだ。しかし呼び方が無いと妄想にリアリティーが出ないので仕方なく設定している。むしろ実在する人物の名前を使うなら事前にその人から許可を取らなくてはいけないぐらいに考えている。そのときまでは特定の個人は登場しないので、この文章を読んでいる全国一千万の僕の熱心なファンは安心してほしい。みなさんの妄想の中で僕が貴方のことをマイハニーと呼んでいることにしてくれて構わない。