砂漠のナボナ

来る前からここにいて、去った後もここにとどまる

大学の英名が変だ

上智大学の英名はSophia Universityだ。初めて見たときはなんやねんこれとか、松岡充のバンドかとか、お高くとまってんじゃねえよとか思ったものである。sophiaといえばギリシャ語由来で知恵、知識を指す言葉であるが、上智大学曰く「人を望ましい人間へと高める最上の叡智」という意味が込められているらしい。なんだかおおげさな話である。しかし上智大学はそのブランドイメージとは裏腹にキャンパスは立地こそいいものの意外と地味で、教室や食堂が地下にあったりもして全体的に薄暗いのである。イケメンで頭も良いけど、家ではつげ義春とか読んでるクラスメイトみたいな感じだ。いけすかないやつかと思いきや結構話が合いそう、みたいな。

 

次は日本女子大学、これの英名はJapan Women's Universityである。欧米のフェミニストが見たら激怒しそうな名前だ。でも女性が大学に入れなかった頃に女性でも大学に入れるようにした、という意味では高評価かもしれない。しかしWomen's Universityってそのまんますぎだろう。身も蓋もなさではかなりのものである。

 

女子大について言及したので他にも挙げておくと、東京女学館大学はTokyo Jogakkan Collge、椙山女学園大学はSugiyama Jogakuen University、神戸女学院大学はKobe Collegeである。JogakkanだのJogakuenだのと、お前それ外国人の前でも堂々と名乗れんの?と思わざるを得ない無理やりな英名と、神戸女学院の潔さが光る。しょせん内田樹なんぞを雇う大学とか言ってすいませんでした。あと、universityとcollegeの使い分けも重要なポイントである。総合大学がuniversity、単科大学がcollegeという使い分けがされているというのが定説だが、神戸女学院なんて一橋大学とか東京学芸大学よりは学部の数からしてuniversityな気がするのだが、そこも潔さを感じる。さすがは名門校である。余談だが、椙山女学園大学の「人間になろう」ってコピー、妖怪人間かよ。

 

そのまますぎる英名でいくと、東京経済大学がTokyo Keizai Universityなのもすごい。この大学において経済はeconomy(economics)ではなくKeizaiである。経済という語に経世済民の意を託した荻生徂徠の心中はいかなるものであろうか。そこはTokyo School of Economicsでいいんじゃないのと思うが、xxxx School of Economicsという名称はロンドンやパリなどで社会科学の総合大学の名門校によく使われている名前である。さすがに近くに一橋大学がある以上、自粛したのかもしれない。謙虚な事である。というか一橋大学はとっととTokyo School of Economicsを名乗るべき。

 

最後に、個人的に一番たまげたやつを。聖心女子大学の英名がUniversity of the Sacred Heart, Tokyoなのである。sacred heart!! まあそのまんまなのだが、神聖なる心の大学ってお前、都心のお嬢様学校に通う連中が遊んでないわけないだろ!!もちろんこれは偏見である。元々はSociety of Sacred Heartというイエズス会由来の女性による修道会が母体となった由緒正しき大学らしいが、東京の広尾なんて超高級住宅街にあるあたりが僕の嫉妬心を刺激しまくりである。ちなみに名前がそっくりなノートルダム清心女子大学はNotre Dame Seishin Universityである。そりゃあ字は微妙に違うけども、そこはもうpure heartにでもしとけやと言いたくなる。

 

なんだか女子大とキリスト教系に偏ってしまったが、大学の英名って変だよねというお話である。ただこれは僕がおもしろがって言っているだけではなくて、大学の名前ってグローバルな競争では結構重要なことだと思うのだ。だって外国の人って東京以外日本の地名なんてほとんど知らないんだもの。その点ではとりあえずTokyoってついてる大学名なら、そこに所属する研究者が英語で論文を発表しても「ああ、東京ね」って思ってもらえるだろうけど、それ以外の大学はよっぽど過去の実績がないとそういうわけにもいかないんじゃないか。もちろん、国内での教育が重要であって研究者は海外に向かって発信してればいいというわけじゃない、という考え方もあるだろう。ただ、昨今の猫も杓子もグローバルという時代にはあんまりそぐわないような気がするのだ。