砂漠のナボナ

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サブウェイのピザサブに今は亡きファミマのサクッとピザを見た

サブウェイの新商品「ピザ バジルチキン」がとてもおいしかった。

www.subway.co.jp

サブウェイといえば山盛りの野菜だが、これはピーマンとたまねぎが少しだけだ。その代わり、山盛りのチーズが乗っている。本能に訴える乳脂肪の旨みがある。バジルの効いた食べ応えのあるチキンと相まって、立派な食事感が強い。パンは強めに焼かれており、公式に勧められるセサミのパンがさらに香ばしさに拍車をかける。ファストフードの中でも洗練されたイメージのサブウェイにあってなお、かなり完成度の高いメニューだと思う。

 

ところで旧世紀末、ファミリーマートでサクッとピザなる商品が売られていたことをご存じだろうか。

www.family.co.jp

注文されるとレンジで温めて提供される、長方形の形をしたピザだ。立ち位置は今でいうとブリトーが近いと思う。当時は結構プッシュされていて、CMソングを今でも歌えるほどだ。「空腹をやっつけろ サクサク戦士ピザロボ ホットレンジ攻撃だ! サクッと、ピザ~」つい歌ってしまった。キャラクターはデザインがロドニー・グリーンブラッド、20世紀末にPUFFYとかパラッパラッパーブイブイ言わせてたあのロドニーである。今見てもすごくキャッチーですね。

ところで味はと言えば、店で調理される割にはクラスト部分がすごくサクサクで、すごくおいしかったのだ。特に印象的だったのがバジルの方で、今までピザといえばトマトソースだと思っていた僕にとって、謎の緑のソースがなぜこんなにおいしいのか不思議であった。今にして思えばハーブのおいしさを最初に認識した食べ物だったと思う。

どうしてこのサクッとピザを急に思い出したかと言えば、上で触れたピザサブがまさにこの味だったのだ。サクサクした食感、チーズ、バジル。要素が似ていると言えばそれまでだが、手軽に食べられるファストフードやコンビニフードの中に、この味ってあるようで無かった気がするのだ。なつかしのおいしい味に再び出会えてもちろんうれしいのだが、かつて160円で味わえた物が今や450円になってしまったのは(いや全く別物なんだけど)、なんだか時代の流れを感じてしまう。あのときと同じ感動を味わうには3倍近いお金が必要なのかと。あれから僕もお金を稼ぐようになり、そりゃあ450円ぐらいどうということはないさ。でも、あの当時の、後世で失われた10年とか言われてしまうあの時代の中にあって、バブルも崩壊して久しいのにどこか日本景気が見栄を張っていたようなあの雰囲気と共にあったサクっとピザの味が、2020年の今になってサブウェイに味わわされたことは、僕にこの上なく奇妙な感慨をもたらすのである。