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砂漠のナボナ

来る前からここにいて、去った後もここにとどまる

おれという人間の価値観を押し付けたいがためだけの本たち

今週のお題「プレゼントしたい本」

過去に何度か本をプレゼントしようとしたことは何度かあって、読んでつまらなかった本とかはタダでホイホイ人にあげちゃう(時には相手に金を払ってまで引き取ってもらう)のですが、プレゼントとなるとなかなかうまくいかない。実際に渡すタイミングがなかったという場合もあるのですが、なんだか「この本読みなよ」って教養の押し付けというか間違った教養主義というか、おもしろいだろうこの本っていう価値観を相手に押し付けたいがためだけにやろうとしてないかって思っちゃうのです。そうなると本をプレゼントするという行為がなんだか暴力的なものに思えてきてしまってなかなか実現に至らずもやもやしております。ほかの人から本をもらったり勧められたりするのはすごくうれしいんだけどね。というわけで傲慢なタイトルからスタート。

 

アマニタ・パンセリナ (集英社文庫)

アマニタ・パンセリナ (集英社文庫)

 

 これは大学で薬学部に進学しようとしていた女の子にプレゼントしようとしていた本で、文系だったぼくには薬のことなんてわかるわけもなく、それでもなんとか共通点を見つけようと頑張った結果がこの本。中島らもが合法非合法様々なドラッグについて語ったエッセイなんだけど、勉強のために入った図書館で中島らもを読み漁っていたこと、当時の自分には薬の知識なんてこの本由来のものしかなかったこと、そしてドラッグとかロックみたいなカウンターカルチャーに憧れていた高校生時代の自分自身について彼女に知ってほしかったことがありありと思い出されて大変甘酸っぱい気分になる一冊。

 

サキ短編集 (新潮文庫)

サキ短編集 (新潮文庫)

 

 当時サキさんという女性と接点ができて、前から知ってはいたけど特に話す間柄ではなかったのが、急に会話をするようになったのがきっかけで、なんとなく洒落でプレゼントしてみようかなと思って買ったのがこの本。結局サキさんとはそれ以上仲良くなることもなく、この本もいまだに読んでないし、上記の出来事をすっかり忘れてもう一度この本を買おうとしたぐらいにはぼんやりした思い出しかない。でもサキさんにサキの本を贈るというのは我ながらうまいこと言ったなあと当時の僕は思っていたのだろう(今でも思っている)。

 

禁酒セラピー [セラピーシリーズ] (LONGSELLER MOOK FOR PLEASURE R)

禁酒セラピー [セラピーシリーズ] (LONGSELLER MOOK FOR PLEASURE R)

 

 これは実際にプレゼントした本。当時ちょうど20歳を迎えて、人生で初めて酒を飲むという女性にこれまた洒落でプレゼントしました。もう受け狙いでしかないけど、その宴会の席では非常に受けたのでよかったっす。

 

初音ミクはなぜ世界を変えたのか?

初音ミクはなぜ世界を変えたのか?

 

 これも実際にプレゼントしました。音楽を研究している大学院生の女性とたびたび初音ミクについて話すことがあって(楽器の歴史から見ても興味深いらしいですよ初音ミク)、その流れの中で思いついたのと、当時彼女が就職先が決まったというのでそのお祝いに。この本は書いている人がロッキングオン出身の人で、ウッドストックとかパンクムーブメントとかと同列に扱って「世界を変えた!すごい!」って言おうとするような書き口が個人的には気に入らなかったけど、全体的な内容は面白かったと思う。全部読む前に持ってたのをあげちゃったのと、彼女から感想を聞いていないのが心残り。

 

 この本も実際にプレゼントした本で、これだけ相手が男性。「最近なんか面白い本ない?」と聞かれてプレゼントしました。最初に読んだときはそうでもなかったんだけど、後から思い出した時にあまりに泣いてしまって、これを持ち続けたら自分はダメになると思ってブックオフで売っちゃったんだけど、それでも買い戻したくなるぐらい好きな本。好きな人の昔の姿を見てみたくないですか?みたいな一文があとがきにあって、そうそう好きな人の性格とか視点はどうやって作られたものなんだろうとか、もしくは相手が過去に悲しい出来事に直面していた時にタイムスリップしては現してあげたいなあとか思うことがよくあったのでとにかく刺さりました。とにかく大好きで何冊でも買ってみんなに配りたいんだけど、だからってプレゼントする本人の目の前で読み直して号泣してから渡すのはやりすぎだったかなあと思います。

 

「ない仕事」の作り方

「ない仕事」の作り方

 

 これはプレゼントできなかった本。相手は女性で、本人は自由奔放で型破りなところがるんだけど、でも仕事でとにかくカタい部署に配属になってしまったという人に渡そうとしてました。でも彼女はとにかく活字を読まない性格らしく断念。仕事はしなくちゃいけないけど、なんかもっと気楽に好きなことやっていいしできるんだよって伝えたかっただけに残念。ほぼ日が関わっているのでそっち系のテイストと合う合わないはあるにせよ、結構いい本なのにねえ。

 

こうして並べてみると、おれ、女性に本をプレゼントしようとしすぎ。なんだかそういうところからも女性を自分の型にはめて口説こうとしているようでいやになるんだよな~と思いつつも、本って選ぶ人の過去やその時の趣味とか考え方がダイレクトに反映されるから好き。これを書いているときも過去の自分を思い出してすごく懐かしい気持ちになりました。だから似通ったセレクトになる「人生で読むべき本20冊」みたいなのは好きじゃないんだけど、もうちょっと趣味がはっきりしていたり、自分の知っている人から勧められる本はどれもすごく面白そうに見える。だからもっと人から本を進められたいなあ、そしておれの勧める本も読んでほしいなあ(そしておれの趣味を理解しておれのことを好きになったりしてくれないかなあ)と思うのだ。