彼女が喜びそうもない話
最近よく話す女性がいて、でもあまり自分から話してくれる人ではないので、僕はたくさん話題を用意するようになった。そこで話すほどではない話題をいくつか。
・クリーニング屋にワイシャツをもっていったところ、手持ちの現金がなかったので近くのATMでおろしてきた。1000円足らずの会計に対し僕はおろしたての1万円札を出したのだが、店のおばちゃんは一言「おっきぃ……」とつぶやいた。僕は「すみません」と答えた。いらんエロスだな、と思った。
・スーツ姿で歩いていると、横断歩道で不意にほかの男性と二人だけ横に並ぶことがある。信号が青になって歩き出すとき、なんとなくドラマ「相棒」みたいだな、と思う。彼と僕のどちらが水谷豊だろうか、彼と比べると僕は寺脇康文だろうか、僕が水谷豊で彼が反町隆史かな、と考えるのは地味に楽しい。
・先日スパイダーマンを見に行った帰り、レイトショーのため終電の時間がギリギリだった。のんびり歩いていては間に合わないので走ることにしたのだが、しばらくすると同じ道を横に並んで走ってくる青年がいた。加速は僕のほうが早かったがスタミナは彼のほうがあった。信号で止まって横に並ぶたび、「まだいけるか、相棒」と戦友みたいな感情が芽生えた。駅に着く前に彼はいなくなってしまったのだけど、どこにいったのだろう。同じ電車だったなら飲みに誘ったのに。
彼女は下戸で、酒は飲めない。ディナーに誘ったらよくわからない理由で断られてしまった。じゃあなんでランチは必ず来てくれるんだろう。
京アニについてはただ祈るしかない夜、どうかよい眠りを
傘の会
傘の会、というものを作りたくなったことがある。
当時、僕は入院から職場復帰したばかりで、仕事のストレスに敏感になっていた。同時に、人が抱えるストレスにも関心があった。あの人が最近疲れている、あの人は職場に友達がいなくてさみしそうだ・・・・・・そんな話を聞くにつけ、他人事ながらに真剣に怒っていた。職場でどう振る舞っていようと、そんなの人の勝手だろう。でも、そのつらさを思うと悲しくなる。自分が体を壊したときのように、あの人もどこかで歯止めがきかなくなるんじゃないのか。僕は戻ってこれたけど、手遅れになってしまう人もいるんじゃないか。
そんな人を守るのが傘の会である。単純に皆で集まって、仕事とかそんなに頑張らなくていいよね、そういう話をして終わり。ご飯に行ったり、お酒を飲みに行ってもいいだろう。でも早めに切り上げて2次会もなし。そういうものが作りたかった。社内には意識の高い人たちもいて、自分の価値を高めようと必死だった。ある種の人々を引きつける部分はあって、輪に加わる人たちもちらほらいた。でも、そもそも人に価値、というか優劣は存在しない。彼らはなんとか優劣の優になりたくて必死だった。そしてそれは僕にとって全く魅力的ではなかった。虚無だ。そんなことよりも互いが互いに傘を差し出すような、気負わずに参加できる互助会、そんなものがほしかった。
しかし僕の考えは上に書いた物から一歩も進むことはなかった。それは具体性のない妄想に過ぎなかった。ほどなく入院前の勤務態度に戻った僕は傘の会について真剣に考えるのをやめた。でも、時々思い出すことがある。苦しむ誰かに傘を差してあげたいと、そして誰かの傘に少しでいいから入れてもらえないだろうかと。それはきっと切実な願いで、意志で、私である。
豪雨の折、すべての人に恵みが来ますように
小ネタ4つ
ツイッターに書けばいいのだが、ブログに書きたかったのだ。
・居酒屋とかクラブにウーロン茶はあってもどうして麦茶が置いてないんだろう。冷えた麦茶を飲んでいて思った。冬なので常温である。乾杯するときに飲めない人は麦茶。飲んだ人も酔い覚ましに麦茶。クラブやライブハウスで疲れたら麦茶。あっさりしてクセの無いおいしさが体中に染み渡る。ミネラルも豊富だ。ごはんにも合うだろう。ラーメンにライス、ゆで卵にマヨネーズがおいしいように、穀物には穀物である。
と思ってググったら正解がわかった。複数のサイトを総合して考えると、昔から親しまれていて家にも常にある飲み物だけに金が取れないかららしい。食堂みたいなところでは麦茶やほうじ茶はタダで出してるからでは、という意見もあった。なるほど、と思う一方で納得しない部分もある。金取れるだけの高級麦茶をメーカーに作ってほしい。
・ブログの記事に締めの言葉、決め台詞がほしい。ちきりん氏の「そんじゃーね」とか、借金玉氏の「やっていきましょう」とか、まくるめ氏の「お願いしますね。お願いしましたよ」とか、ちょうかっこいい。僕の「現場からは以上です」はカズレーザーのパクリだ。ある日知人から、お前はカズレーザーに似ている、と。体がでかくて頭が良いからだそうだ。ほめられているようでうれしかったのだが、実はそんなにしっくりきていない。さてどうしようかと頭をひねったのだが(5秒)、とりあえず「うっとりウォンバット」って書いておこうと思う。今日はずっとウォンバットの画像を見ていたのだ。かわいいだろうウォンバット。だからうっとりウォンバット。うん、良いんじゃないか。
・困窮している。経済的にも(給料が少ないのにクレカ使いすぎた。何に使ってるのかはよくわからない)、仕事的にも(忙しくなりそうなのと、近くの部署に本気で嫌いな奴が来る)、プライベートも(友達や恋人がほしくて社交の場に出かけるのだが、その場をめちゃくちゃ盛り上げてもそのテンションで周りだけ仲良くなっちゃって結局ひとりになってしまう)、体調的にも(何を食べてもおいしくないけどおなかがすく。乾燥して肌荒れがすごい。常にねむい。持病のために飲んでいたステロイド剤をやめたら副作用による躁状態が終わって落ち込みやすくなった)、非常に困ったことばかりである。打開しようもないのでブログを書いている。ブログを書く暇があったら3ヶ月放置している恩師からのメールと友人からのメールに返事を書かなくてはならないのだが、上記の通り気がかりが多すぎてペンディングしてしまう。この話書いてると暗くなってきたので特にオチはないです。
・今更ながら、「SSSS.GRIDMAN」すごいよかった。高校生の青春ものと、特撮・ロボットアニメのパロディと、めちゃくちゃかっこいい主題歌と、世界を救いつつたったひとりを同時に救うという「ヒーローとはなんたるか」をどれも高度なレベルで両立させているという、ちょっと意味がわからないレベルの仕事を見た。あれば良いアニメですよ。
今日はここまで。うっとりウォンバット。
男の子の街、銀座
銀座と言いつつ初っぱなから新橋で恐縮だが(おれなら徒歩圏内)、新橋駅からしばらく歩いたところにタミヤプラモデルファクトリーという店がある。その名の通りタミヤの直営店で、店の中には所狭しとプラモデル、ラジコン、ミニ四駆が並んでいて、しかもミニ四駆のサーキットと作業場まであるから買ったミニ四駆をすぐその場で走らせることができるという、それはそれは楽しい店だ。ぼくは今岐阜に住んでいるけれど、東京に行くたびに立ち寄ってしまう。そして時間を忘れてプラモデルを眺め、フォークリフトのラジコン組み立てキットとか買ってしまうのだ。新橋という立地上夜になるとたくさんのサラリーマンが来店するのだが、誰も彼もみな楽しそうだ。君の家のお父さんがうっかりタミヤのプラモデルを買ってきたならば、それはきっとこの店の力にやられたに違いない。
もうひとつ、銀座に天賞堂という宝石店があるのだが、ここは1階が宝石店で2階が鉄道模型の店になっている。一瞬その組み合わせは何だと首をひねってしまうが、きっと鉄道模型の真鍮加工の技術なんかが宝石加工の技術と近いものがあるのだろう。知らんけど。あいにく鉄道模型になると本気で宝石並の値段がするものもあったりして買い物はできないのだが、前を通るたびにこっちも立ち寄ってしまう。銀座というおしゃれでハイソな街に模型店があるというギャップもいい。ここもおじさんばっかりだ。定年退職し左ウチワな生活を始めた暁には、是非とも日参して同好の士と語り合いたい、そんな店である。
どちらも、幼い頃にあこがれた夢の空間そのままである。訪れた男性はその場で5歳にまで若返り、同行する女性には呆れられるだろう。でもいいのだ。こころゆくまで堪能しよう。BGMは筋肉少女帯「おもちゃやめぐり」だ。米トイザらスが経営破綻し、既存店もすべて閉店した後に公式サイトにアップされたメッセージは「最後の約束、ずっと子供でいよう!」だった。言われるまでもない。ぼくらはいつでも子供に戻れる。そしてその場所は銀座にある。この巡り合わせが、なんだか不思議だなと思うのだ。
あれは東京から引っ越す少し前、ちょうど東急プラザがオープン直前だったのだが、夜にふと前を通りかかるとオープン前のはずなのにガラス張りの窓に街を見下ろす男性の人影が見えたのだ。何をしていたのかは知らないが、高層ビルから銀座を見下ろすというのはいかにも成功者という感じがする。きっと手にはシャンパンかブランデーグラスを持っていて、後ろには肩を露わにした真っ赤なドレスをきた美女がいたことだろう。そういうわかりやすい成功者も含めて、実に男の子の夢が詰まったいい街だと思う。いや、本当はどうだかわかんないんだけど
わかるようなわからんような 映画評「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」
とりあえずネタバレ全開で、備忘録としてリスト
【生きてる人・消えてない人】
トニー・スターク/アイアンマン
ソー
ロケット
ネビュラ
ナターシャ・ロマノフ/ブラック・ウィドウ
ブルース・バナー/ハルク
ローディ/ウォーマシン
【出てないけど多分生きてる人】
スコット・ラング/アントマン
ポープ・ヴァン・ダイン/ワスプ
クリント・バートン/ホークアイ
シュリ(ワカンダのみなさま残り半分)
エヴェレット・ロス
フィル・コールソン(withエージェント・オブ・シールド組?)
シャロン・カーター
ウォン
モルド?
というわけでようやっと見てきたインフィニティ・ウォー。しょっぱなからアスガルド全滅って、前作ではあんなに楽しそうにやってたのに落差デカすぎだろ!あといつの間にかザンダー星も滅ぼされてるじゃんかよ!ノヴァ軍の長官とか嫁がピンク色のおじさんとか死んじゃったのかよ!いくらなんでも殺しすぎでは、という印象が強くて、そりゃおもしろいはおもしろいけど、ちょっとなーと思った。決して安易な犠牲や人員整理のため”だけ”の描写ではないことはわかるんだけど、さすがにドン引き。しかしヒーローの数もぐっと増えたのに全員に見せ場を作るのはさすが。満を持して登場するキャプテンとか満を持して登場するソーとか、GoG組の連携とか見ていてすごくテンション上がる。お祭り映画としては十分以上のものは見せてもらっているんだよなー。そしてそんな中実質主役のポジションにいるサノスですが("Thanos will return"って)、正直自分にはあんまり。確かにちゃんと信念や主張があって、ガモーラとかどうでもいいのかと思いきやちゃんと気にしてはいて……っていうのがある。間違いなくある。めちゃめちゃ描写してる。それはよくわかるんだが、人口爆発に資源が追い付かないから虐殺で半分にしよう!→全宇宙でもそれやっちゃおっかな~って、バカじゃないの?発想があまりにも幼稚じゃないですか?いやもちろん途方もないスケールの話なのでそれ相応の絶望がサノス氏にはあったんだと思うよ?でもさあ、そのネタ50年前からウルトラマンでやってんだよねえ。それがいまさらしかめっつら(ブローリンたんの素ではある)して、こんだけ金かけて、スタッフから役者まで一流そろえてやるのがそれ?という感は否めない。10年の月日をかけた超特大メガヒットシリーズで、かつあれだけのヒーローと対峙する巨悪としてはあれが最適解かもしれんが、う~ん。いかんせん次作で完結っていうのがわかってるからなんとも言えない部分も多くてそこもモヤっとする作品でした。現場からは以上です。
指とバナナとウインナー
小学生だったころのある日、集団登校中に上級生の友人と昨日のテレビについて話していた。僕は見逃していた番組だったのだが、確か実録系の番組だったはずだ。道ばたに切断された指が見つかり、あたりは騒然となったものの、解剖してみると骨が無く、実はそれがバナナだった、という内容だったと思う。友人が番組内での再現VTRをまねて「あれえ、この指、骨が無い!」と言っていたのを鮮明に覚えている。これを聞いて僕は「そんなことあるかいな」などと思っていたのだが、しばらくたったある日、家で母が「指が落ちてる」と言い出したのだ。見てみると確かに何かすごく指っぽいものが落ちてる。気味悪がりつつ近寄って見るとそれがウインナーの端っこだったのだ。そういえばさっきまで兄が朝食にウインナーを食べていた気がする。それが落ちたんだろうか。でもパンくずとかじゃあるまいし、食べこぼしにしてはやや大胆すぎやしないか。当時兄は小学生だったが、さすがにそこまで派手な食べこぼしをするだろうか。そして母もなんですぐ片付けなかったんだろう。そう考えると大変にぼんやりした出来事で、なんでこんなことをいつまでも覚えているのかよくわからない。が、折に触れて思い出すので書いた。現場からは以上です。